『こころ』




大昔に読んだときは辛気臭くて途中でギブアップしてしまった一冊

この歳になり、ようやく1頁ごと、ゆっくりと読み進める…

人の心とは奥深いものやねぇ…

ふと、心を痛めてる友のことを思う

身体を鍛えるのは案外単純でリズムを掴めば容易な作業だけれど、心を鍛えるのは簡単なことじゃない

苦しんでいる当人の身になって考える…そんなこと、どこまでいっても無理な話。
きれいごとでしかないように思う

けれど、その人は、苦しいときに苦しいと、辛いんやと、叫びながら血を吐いている

その、叫びを上げる、ということは本当に勇気がいることやろうなぁ、と

人に弱みを見せることができるのは、その人の強さなのかもしれない…

『下町ロケット』



初の池井戸作品。
ドラマ「半沢直樹」が大ヒットしてその原作本を手に取ろうか悩みつつ、まずは直木賞受賞作でもある著者の代表作のこの作品を読んでみようかと。

一言、めっちゃめちゃめちゃ面白かった^^
直木賞っていうより本屋大賞を受賞しそうな感じとでもいおうか。
とてもエンターテイメント性の高い人間群像劇だ。
テンポよく進んでいく状況変化に、先が気になってしょうがない!
次の駅で降りなあかんのにぃ〜ってねぇ。


ロケットエンジンの開発研究者としての夢破れ、実家の佃製作所(社員200名ほどの中小零細企業)の二代目となって7年。
順調に売上を伸ばしているが、大口顧客から急な取引停止の煽りを受けたりと苦労が絶えることはない。
そんな折、技術力があるがゆえに大企業から言い掛かりのような特許訴訟を起こされ大ピンチに !!!
はてさて、この苦境を逆手に取り、佃社長はある決断をすることになる。
それは、自身の『夢の続き』への挑戦だ!
はたして社員はついてきてくれるのか?
資金繰りは?

とにかく人間関係が生々しく描かれ、一人ひとりの個性がぷりっと魅力的だ。
佃製作所の社員においても、営業担当と技術者、経理担当…同じ組織にいても絶えず立場の異なる者同士の意見のぶつかり合いもあり、
また、銀行マンとの融資取付合戦では半沢直樹の1シーンを彷彿とさせられ、
対峙する大企業の社員にも様々な考え方があり、
大企業だから中小零細だからと画一的な人間像では描かれていない。
ただ、中小企業マンの“ナニクソ根性”は結構好きだったりするが。

問題が起こる度に「私だったらどう考える?どう行動する?」と考えずにはおれない。
・慎重に目の前の利益を優先するのか。
・それとは逆に、挑戦し夢を追いかけるのか。
正しいか誤りか…なんて、誰にも簡単には分らない。
だからぶつかりながらちょっとずつ前に進むしかない。

ただ、「企業倫理」って結局はその組織の構成員一人ひとりの「仕事に対する信条」の積み重ねなのかなぁ、と。
なぁんて、ちょっと偉そうにそんなことを考えたりもした。

そんなことを考えずには、感じずにはおれない熱い作品だった。

『雨のなまえ』

クボミスミ  って、読んだことある?

ってきいて

あぁ、あの官能小説? と言いながら、

眉間にシワを寄せられたら…

その人とは、たぶんそれ以上オチカヅキになれない、と思う。

けれど、ニカっと笑って、あれねぇ…って言われたら…?!

その後は、幸せな読後感を共有することができるだろう、たぶん、ね。

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  『雨のなまえ』 窪美澄

この人の作品、心待ちにしてた。

ようやくの新作、すっごく嬉しくて夢中で読んでしまった。

前作の「ふがいない僕は空をみた」もめっちゃ良かったが、今回も。

やっぱり、よい。理屈じゃーない。

「人」というもののどうしようもない情けなさとずるさと弱さと強さと。

読み進めるうちに色んな感情が綯交ぜにされ、胸がぐぅっと締め付けられる…

とくに、大切な箇所を。

読後、自身の ‘いま’ がどうしようもなく愛おしく感じられるからフシギ…。

またしてもやられてもーた、クボミスミの世界に。

『遠い太鼓』を読む

実は村上春樹の小説は少しだけニガテな私だが、エッセイは好き。

ということで、今をときめく〝多崎つくる〟ではなく、『遠い太鼓』という旅日記を手に取ることにした。

この本は、二十数年前に著者と夫人がギリシャ~イタリアを3年ほどかけて滞在した際の紀行モノなのだが、いやぁめちゃくちゃ面白かった。

ちょうどその3年のヨーロッパ滞在期間に、「ノルウェイの森」と「ダンス・ダンス・ダンス」を書きあげたとういうのだから、どんな風に‘そっちの世界観からこっち側へ’切り替えれるものなのか、すごいなぁ…、などと想像することもできないことにも馳せながら読み進めるとそれはそれでまた楽しかったり…。

面白さって色々あると思うけれど、この本はほんと随所で ブフッッと吹き出してしまう感じの面白さもあって、通勤途中の車内などではしょっちゅう不気味にニヤつきながら読んでしまうほどだ。

なんといっても‘人物描写’が絶妙なのだ。
ギリシャやイタリアって、やっぱり風土が持つ大らかさ・鷹揚さ(言い換えればいい加減さ?!)みたいな資質を斜めから眺めたりすかしたり…、けれどきちんと慈しみと敬意も持ちながら愛情豊かに描かれている彼・彼女たち。

‘ヴァレンティナ’というギリシャ人女性は、何かに感動したり何かを強調したりするときには言葉の真ん中の母音をやたらと ながぁぁぁぁく(長く)引っぱる癖があったり。(とにかくエネルギッシュ!!)

また、イタリアでバス移動したときに、運転手と助手(ガイドみたいな人)らがワイン片手に酒盛りを始め、いつしか乗客も巻き込んでバスごと宴会場になってしまったって?(ほんと、どんだけ~ってな話happy02

そして、食&飲!!

イタリアの田舎町の3組くらいしか泊まることのできない小さなホテルで振る舞われる素晴らしい朝食についてや、ギリシャの島のバーで飲むカクテルなんかの話など。
たぁぁぁぁぁまりませぇぇぇんbleah

考えてみればこのエッセイが書かれたのは三十年近く前だもんで、パソコンどころかようやくワープロが出始めた頃のこと、著者の原稿を書き進めるそのあたりの表現も独特のアナログ感が漂い、これがまた良いのです。

とにかくいろんな角度から楽しめる〝村上流旅のスケッチ〟だったbook

…旅へ出たいなぁairplane

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『母  ~オモニ~』

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姜さんの自伝的小説『母~オモニ~』を読んだ。

在日1世として激動の人生を送られた御母君の生涯を描いたこの作品。

どのような経緯で祖国から日本へ渡られたのか、

そしてそれがどれほどの苦労を伴うものだったのか、

終戦、その後の祖国の分断…

結婚し、子を持ち、商売を繁盛させながら、がむしゃらに、ひたむきに。

全編に亘り、オモニの愛が溢れだしていた…

そう、故郷チネ(鎮海)の満開の桜のようにcherryblossom

 オモニたちは、昔からの仕来りば守ることで、何とか日本でも生きていけたと。

 ばってん。もうこれからは、ニホンも、チョーセンもなか時代になるど。

「記憶する技術」

気候がいまいち安定しない今年の五月も半月を過ぎた。

取り立てて予定もなく過ごす週末は、こんな本読みを楽しんだりしている。


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記憶について語られたこの本。

伊藤塾という、司法試験や資格試験で有名な塾の創始者であり有名な法学者である著者が、記憶とは技術だと説く、この本。


というのもね~、なんでやろっていうくらい記憶力が落ちてるように感じてた今日この頃。

うーん、、

そもそも記憶力にはまったく自信がなかったって⁈

だから、自然とこの本に手が伸びてたの、かも かもsad

そんな不安を一掃してくれたわけではない、けれど、年齢のせいで記憶力が落ちるなんてことは物理的にないって⁈

いままで意識していなかった記憶するための意識についてあらためて考える時間をもらった気がするんよねぇconfident

記憶のしくみとその具体的な方法とは!

日常生活で記憶力を伸ばすトレーニングなど、今このときから始められることもあり、早速実践してみたところ・・・

「一日を振り返る訓練」なんかは、お風呂上がりにドライヤーをかけながら、その日起きた出来事や会話なんかを思い起こすこと、それ自体が記憶脳を刺激することだという。

他にも、買い物リストは頭の中でストーリーを描くことで忘れにくくなるなんて!

たとえば、マンションの前に‘ネギを抱いたオジサンがいて、その後オートロックの番号を押したら生卵が指についてしまって・・

みたいに、あり得ないような物語を作り上げることでオリジナルな買い物メモが出来上がり‼

ダマされたっ⁈と思ってやってみよ!

これがイケるんよね~。

今さらながら面白い記憶するチカラ!

記憶の蓄積が、つまるところ考えることの土台だという。

「ほら、アレよ、アレ・・・sweat01・・・、だからホラ、、」

このコトバを聞いたり見たり⁈もしかして言ったりしちゃったときは・・
そのときは何が何でも思い出すまで人に聞いたり調べたりせず(気持ち悪いけど)
ガマンして考え続けるのだ‼

そしたら、はっ!

ヒラメくのです。

そのガマンと忍耐が記憶力を鍛えるのだ!

やるで~ がんばるで~upwardright

今年の本読みは!

ここのところご無沙汰だった本の話を。

今年は好きな読書に時間を見つけるのも難しくて、あまりたくさんは読めなかったが、心に残った数冊について書き留めておこうかなclover

「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ著

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春頃、友から勧められたこの作品について、全く予備知識もなく読み進め…。

そのころちょうど同時期に映画も公開されていたこの作品。
‘SF’という紹介のされ方には違和感を感じてしまうのだけど、確かに架空の話だ。
登場人物の彼・彼女たちが、ある「施設」での暮らしのなか「普通に」成長していく(友人とのトラブルや恋愛など)様が淡々と描かれていくなかで、ふいに感じる疑問符。
物語の半ばを過ぎたころから感じる不気味な予感…。

読後、しばらくは何も語りたくなかったこの作品だが、数ヶ月経った今は素直に読んでよかったと思えるようになった。
臓器提供のために作られてしまったクローンたちの悲哀だなんて。なんだろう、SFだと言い切ってしまえない得体の知れない薄気味悪さを感じ、身震いしてしまう。
そこに人間のエゴを感じてしまうからなのかもしれない。

がらっと趣を変え…
「老いの才覚」 曽野綾子著

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「老い」という言葉が発するニュアンスは、本音ではまだ自分のものとして捉えることはできない。
けれど、この本を書店で手にし、数頁めくってみたら…。
 
 若いうちは、複雑な老年を生きる才覚がありません。
 しかし、多くの人は、年をとって体の自由が利かなくなったり、
 美しい容貌の人が醜くなったり、社会的地位を失ってしまっていく中で、
 その人なりに成長します。
 つまり少年期、青年期は身体の発育期、
 壮年と老年は精神の完成期であり、
 とりわけ老年期の比重は大変重い…。

読み終わり、たくさんの頁を折り曲げてしまった^^
今‘このとき’を大切に生きる指針をまたひとつ頂いたように思う良い本だった。

そして、最後は番外編…かなwink

「札幌刑務所 4泊5日」 東 直己著

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実はまだ読み終えておらずsweat01、フライング記事になってしまうのだけど。
あまりに面白い、いやオモロー(懐かしっ)なのだな。

「探偵はバーにいる」のこの著者が、食えないフリーのライター時代に(無理やり?)経験した「刑務所入所体験レポ」なのだか、ほんまに笑える。
(クスっと、ではなくブハァーっと豪快な感じで。)
いやぁ、ほんまに家以外(電車の中など)で読むのは絶対にオススメしませんsmile
道徳や倫理感?なんですか、ソレsign04 みたいな?!
あぁ、でもこういう遊び心と究極の好奇心が後の作品群を生み出したのかも?!
やはり只者ではございませんな、たぶん、きっと…bleah

『奇跡の教室』

『奇跡の教室』 伊藤氏貴・著

エチ先生こと、橋本武先生。
明治生まれの国語の先生は、昭和9年神戸に開校したばかりの灘校に赴任された。
今でこそ名だたる名門進学校・灘校だが、当時私立校といえば公立校のすべり止めでしたなかった時代。
そこでエチ先生が編み出した奇跡の授業、それが中勘助の文庫本『銀の匙』一冊、中学3年間を通して読み込んでゆくという、まさにスロウ・リーディング授業!

一冊の文庫本だけを3年間?
しかも1~2頁進むのに2週間かかることもあるって?
どういうことか興味いっぱいになりながら読み進めていく
…と、そこには好奇心でキラキラした目の生徒たちが、いた。

明治半ばの東京の下町が舞台の小説『銀の匙』は、昭和とは時代背景も異なるところが多く、少し読めば難解な語彙に突き当たってしまう。
そこで大活躍するのが授業の始めに配られるエチ先生の‘特性ガリ刷りプリント’だ。
授業は文庫本の言葉一つから横道へそれ、〝日本の伝奇伝承からアラビアンナイトまで、詩の宇宙から中国の兵法まで〟あらゆる方向へ飛躍していく…。
そこにあるのは、エチ先生と生徒たちで作り上げられていく完全なオリジナル授業だ。

本当に、『奇跡の教室』やなぁ。
読み進めるうちに、その希少な教え子たちが眩しくて。
本当の意味で、〝恩師〟と生涯慕える人に巡り合えた幸福を糧に、その後も各界で活躍されている教え子の方々の生き方がまた素晴しい。

かつての教え子たちの活躍ぶりを知り、エチ先生が語ったこと。
「一緒に『銀の匙』を読んだ生徒がねぇ、還暦過ぎても、みんな前を向いて歩いてる。それが何より嬉しい。それを知ることができて、ほんとうによかったですわ。『結果』が出て、よかったー」
大学受験の成果など、エチ先生の求めた結果ではなかった。


興味の芽生えと探求心の大切さを教えてもらった気がする。
大切なのは情報ではなく、知識として、その後の生き方・考え方を作り上げてくれるものが本物の教育なのかもしれない。

この本を読んで改めて思ったこと。
それは、いくつになっても色んなことに好奇心を大切に、新しいことに尻込みせずにチャレンジ。そしてさらに深く突き詰めて考える粘り強さが大事だと。
そう、エチ先生のように2回目の還暦を迎える活力を持ち続けられる人に、一歩でも近づけますようにclover

ふうふのきずな

想い出のなかの たいせつなひとを

ゆっくりと 慈しみながら

つむがれた 言葉。

未完のまま終わった理由、それは

「貴方、やっぱり恥ずかしいから(私のことなど)書かないで」

そういう亡き妻からの〝お願い〟があったから?

読み進めていくうちに浮かんでくる、自分の周りの仲むつまじいカップルの顔 ^^

そして、父と母の顔が浮かぶ

少しだけ 涙で滲む…

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「あたしはあたし。死ぬときゃ一人」とは。

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空が高いっ!!
すっきり秋晴れの土曜は、家の近くをのんびり散策してみた。
少し歩くと汗ばむほどの陽射しの強さだったけれど、身体を動かすというのはやっぱりキモチいいねぇ。
随分とランニングもできずにいたけど、そろそろ走っても大丈夫そうかなぁ…。
あぁ、走りたいっすsad

それにしてもここのところ、いや今年に入ってからだろうか
どうも自分の体調に自信が持てなくなってきている。
調子よくきていると思っていても急にばたぁんと倒れてしまったり。
同年代の友人たちと話していても、みな似たような不安を感じ始めてるようだし…。
40代も半ばになると、どこかしら不具合が起こってくるもんやなぁ…と。
30代とは明らかに何かが変わる、それが40代であり青年期から更年期へということなんやろうconfident

そんな悩みも楽しみながら自然に受け止めていく術を教えてくれそうな一冊book

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『女の絶望』 伊藤比呂美 著

詩人 伊藤しろみ。江戸っ子だからハ行がサ行、だから しろみ なのだ。
しろみさんが自分に寄せられてくる色んな身の上相談に答えていく…そういうお話^^
あくまでフィクションだ。

セックスについて 子離れについて 不倫について 閉経について 更年期について 中年危機について 嫉妬について 離婚について 老いについて 親の介護について 
そして、女の絶望について。

ほほぉと感心したり、へぇ~と驚いたり、まったくやと納得したり、ちょっと涙したり…
人間やってると、女やってると、ほんま色々ありまんねんthink

そういう 小さなよもやま相談の一つ一つ一人一人に、気風よく時にはぽんっと背中を押したり、優しくあったかく寄り添いながら。

しろみさんって、ほんとに素敵な人やなぁ。
こんな女性になりたいなぁ。
自分は自分、自分がしっかり立つということの大切さ。
そして何より自分をしっかり愛してあげなきゃーなぁ。
あと10年、20年と歳を重ねた頃、しろみさんのような素敵な女性に1歩でも近づきたい。
そう、秋晴れの空のような、爽やかな心に…clover